なぜ海水温の上昇が起こるのか

 

大きな問題の1つとなっている海水温の上昇。海水温が上昇するのはなぜなのか。それには多くの有力な説があります。

やはりまず考えられるものとして地球温暖化の影響で海水温が上昇しているのではないかということです。気象庁が出しているデータを見てみると気温の上昇に伴い海水温の上昇も見られるため説としてはあり得るのではないかと思います。

さらに地球の環境を周期的に見たときに地球は氷河期と間氷期を繰り返しています。こう考えると今は氷河期であり、これから暖かくなっていくと考えれば海水温の上昇も不思議なものではありません。

海水温上昇については様々な要因が複雑に絡み合っている可能性があります。

海水温の上昇でどのような影響が出るのか?

 

海水温上昇による影響

 

  • サンゴの死滅
  • 海洋生物の生息地が北上する
  • 漁業に影響が出る

 

それぞれ細かく見ていきましょう!


サンゴが死滅する

海水温の上昇によってサンゴが死滅するということが起こります。

サンゴは自分自身の体に褐虫藻と呼ばれる藻類を共生させて、褐虫藻が行う光合成によって生じた光合成生産物によって生きています。

褐虫藻が光合成を行うには光が必要となってくるため、褐虫藻と共生しているサンゴの生息地も光合成を行える場所に生息しています。

 

サンゴの生息条件は

  • 十分な日射量がある
  • 光が届く浅海
  • 温暖で安定した水温
  • きれいな海

 

海水温の上昇が起こってしまうと3番目の温暖で安定した水温という条件を満たせなくなる可能性があります。

サンゴに共生している褐虫藻は高温に弱いため海水温が上昇すると耐えられなくなってしまいます。

その結果サンゴから褐虫藻がいなくなり、褐虫藻に頼って生きていたサンゴは死滅してしまいます。

サンゴなどの海洋生物は多産で分散するという特徴があります。

多産というのは海洋生物が次の世代を残すときに多くの卵を産むということです。

魚やサンゴなどは小さくて多くの卵を産みます。海には外敵が多いため多くの卵を産みます。

もう1つの分散という特徴は広い範囲に広げるということです。

どういうことかというと魚などが生んだ卵が海流などで流され広い範囲に分布するようになることです。

なぜ広い範囲に卵を広げるのかというと、海洋は環境の変化が予測しにくいためです。

私たちの住んでいる陸上では、生物の寿命が100年よりも短ければ生きていくことができます。

具体的に例を出すと現在日本という国に人が住んでいるように、100年後も日本には人が住めるということです。100年後も日本で住めるため安心して日本で子どもを育てられるということです。(これは環境変化だけを考慮しています。)

しかし、海洋では生物に寿命が1年でも、1年後の海洋環境で子どもが生きていけるかわかりません。

そのため多くの子どもを産んで広い海で分散させることで生きていくのに適した場所にたどり着かせようとします。

多くの子どもが流れ着き、環境が良ければ一気に増えます。子どもがたどり着かなくて、環境が悪ければ一気に減ります。

サンゴは生息条件が多いため、1つでも条件を満たす場所が減れば生息場所が減ってしまいます。

 

サンゴの死滅問題に関しては海水温の上昇だけが原因となっているわけではありません。

 

海が二酸化炭素を吸収することにより海水が酸性化する「海洋酸性化問題」の影響もあります。サンゴは炭酸カルシウムで形成されています。

海洋酸性化が進むと海水が酸性化し、炭酸カルシウムで形成されているサンゴは死滅してしまいます。

 

「海洋酸性化」についてはこちらの記事で詳しく書いています。

海洋酸性化による影響3選



海洋生物の生息地が北上する

海水温が上昇することで海洋生物の生息地が北上することが考えられます。

もともと南の海で生息していた生き物が海水温が上昇してことによって北上してくる可能性があります。

海水温が上昇することで海の温度が全体的に上昇していき、海の生き物の分布地が全体的に北上することになります。

赤道付近に生息していた魚が日本近海まで来たり、日本近海で生活していた魚がさらに北上していったりと海の生態系が変化する恐れがあります。

こうなってしまうと独自の生態系が崩れてしまったり、南から北上してきた魚によって生態系が破壊されるということが起こってしまいます。

 

漁業に影響を及ぼす

海水温が上昇することで漁業に影響を及ぼす可能性もあります。

先ほど書いたように海水温の上昇によって魚などの海洋生物の分布場所が北上する可能があります。

今まで取れていた漁場で魚が取れなくなったり、これまで取れていた種類とは別の魚が取れるということが起こります。

このことが不漁を招く恐れがあります。

さらに魚の分布地が北上すると、これまでに無い被害が出る可能性もあります。

次のようなことが起こるかもしれません。

シガテラ毒による中毒症状が出る可能があります。

シガテラ毒を保有する生物はバラフエダイ・ウツボ・カマス・イシガキダイなどこれ以外にも多くの種類がいます。

シガテラ毒を生成する渦鞭毛藻を食べた生物のを他の生物が食べることで起こる生物濃縮によって生物内に蓄積します。

このシガテラ毒を生成する渦鞭毛藻は生息域が限られており、シガテラはインド洋や太平洋などの熱帯域や沖縄地方で主に見られます。

海水温が上昇することでシガテラ毒を生成する渦鞭毛藻が北上してくることも考えられます。そうなればシガテラによる被害も出る可能性があります。

シガテラによる中毒症状は腹痛・吐き気・頭痛・筋肉痛など様々です。

最も特徴的なのは冷たさに対する感覚がドライアイスを触ったような感覚になるドライアイスセンセーションという症状です。

これまでに日本で死亡例はないのですが、症状の回復には時間がかかる場合があります。

養殖にも影響が出る可能性があります。

魚やカキなどの貝を養殖している地域は多くあります。多くの魚や貝は生きていける温度が決まっています。

そのた海水温が上昇すると生きていけなくなり死滅してしまいます。

こうなってしまえば養殖業者などに大きな影響を与えることになります。

 

まとめ

海水温が上昇すると多くの事に影響を与えます。自然に影響を与えるということは、私たち人間にも影響が返ってくるということです。

SDGsで14の目標になっているように豊かな海を守るためには早く解決策を講じる必要があります。

他にも解決すべき海の問題があります。

海ゴミ問題についてはこちらの記事で詳しく書いています。

注目!深刻な問題「海ゴミ」とは?

マイクロプラスチック問題についてはこちらで詳しく書いています。

マイクロプラスチックが海の生物と環境に与える影響【徹底解説】